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シェーグレン症候群について

【概要】

シェーグレン症候群は1933年にスウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレンによって発見された病気です。彼は、関節リウマチの患者さんの中に、眼乾燥、口腔乾燥を起こす一群が存在することを報告し、その後、シェーグレン症候群と命名されました。その後の研究で、乾燥症状は眼、口腔に限らず全身の外分泌腺に及び、全身の臓器に障害を起こすこと、関節リウマチ患者以外にも、その他の膠原病や自己免疫疾患である慢性甲状腺炎(橋本病)、原発性胆汁性肝硬変症など様々な病気に合併すること、また、単独でも発病することが解って来ました。

その頻度は公式的には300人に一人(関節リウマチは200人に一人)と言われていますが、シェーグレン症候群とはっきり診断はできませんが、乾燥症状を示す人は20人に一人くらいいると言われています。女性に多いですが、男性にも発症します。重度のものは厚労省の難病に指定されています。

【症状】

基本的には外分泌腺の障害によるものですが、一般的には唾液腺・涙腺障害による腺症状とそれ以外の腺外症状に分類されます。

Ⅰ。腺症状(外分泌腺障害による症状。

(1)眼球乾燥症状:涙の不足により、眼の乾燥感、粘着感、異物感、痛みなどがあり、角膜に傷がつくと乱反射のため、光が眩しく感じられます。

(2)口腔乾燥症状:唾液の不足により、口の渇き、口内炎、口角炎などが起こりやすくなります。味覚障害を起こすこともあります。また唾液による防御作用が低下するため、虫歯や歯周病になりやすくなります。

(3)鼻腔・喉頭・咽頭乾燥症状:鼻の乾燥も起こし、また、喉の違和感、空咳も起こしやすくなります。声がかすれることもあります。

Ⅱ.腺外症状

(1)皮膚症状:皮膚乾燥は良く見られ、乾燥とそれに伴うかゆみや皮疹が出現します。時に環状紅斑と言われる特徴的な紫色の輪状の皮疹を起こすこともあります。

(2)関節症状:関節炎を起こすと言われていますが、基本的には関節炎ではなく関節周囲炎です。関節リウマチでは滑膜炎であり、関節変形を起こしますが、シェーグレン症候群では潤滑油の不足に伴う腱鞘炎や関節周囲炎であり基本的には関節破壊をおこすことはありません。朝のこわばりや安静時から動き始めのこわばりです。それを承知でうまく付き合えば関節変形になることはありません。

(3)消化器乾燥症状:食道の乾燥により、食物が食道につかえて飲み込みにくくなることがあります。また、胃液分泌も少なくなり、萎縮性胃炎をおこすこともあります。

(4)婦人科的疾患:膣乾燥により性交渉に支障を来たすこともあります。子宮内膜症も本症によっておこることがあります。後述の抗SS-A抗体と関連して、習慣性流産を起こすこともあります。

Ⅲ全身症状

(1)全身倦怠感、易疲労感は良く見られる症状ですが、何故か不明です。時にはうつ病のような状態になることもあります。

(2)発熱:発汗による体温調節が障害されるためか、発熱を起こすことがありますが、37℃前後の微熱で、38℃を超えることはほとんどありません。

(3)間質性肺炎:UIPと言われる型に分類されるもので、進行は緩徐です。

(4)間質性腎炎:尿細管アシドーシスで、進行は緩徐です。

(5)多発性単神経炎:手・足などのしびれ、運動障害を起こすことがありますが、副腎皮質ステロイド薬により改善しやすいので、しっかりと診断・治療することが重要です。

(6)悪性リンパ腫:稀に悪性リンパ腫を合併することがあります。Bリンパ球活性によるB細胞型リンパ腫であり、最近治療法が進歩しており、ほとんどが治ります。

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